深田 上 免田 岡原 須恵

ヨケマン談義11. 昔懐かしふるさとの味

11-33. ラムネとサイダー

 今のようなコーラとか数多くの飲み物がなかった時代、ラムネやサイダーは夢のような清涼飲料であったと、これも多くの方からお便りいただいた。

 で栓をしたような飲料水ビンは「ラムネ」ではない。ラムネ瓶には、図1のように、ラムネん玉(ビー玉)が入っていた。こどもの頃は、どうやって入れたんだろうと不思議でならなかった。その入れ方を知ったのは、大人になってからである。ラムネ瓶の口は、もともとラムネん 玉が入る大きさになっていて、玉を入れてから加熱して口を細くするだけである。昔のラムネ瓶の中にはパッキンがあり、ラムネん 玉が炭酸ガスの圧力で押されて密封される仕組みであった。しかし、近頃のラムネ瓶は、瓶先端にキャップが固着されているから、それをニッパーなどで取り除けばラムネん玉が取り出せるようになっている。

 図1は、レトロショップ モンタゲさんの昔のラムネ瓶で、傷もなく今も残っているのは僅かだそうである。 そのラムネが日本へ伝わったのは1860年頃、英国船が長崎へ持ち込んだのが最初とされている。ラムネは「レモネード」が転じたものといわれ、そのレモネードというのはレモン水のことで、レモンの香りをつけた炭酸飲料である。
ラムネ瓶の特徴は、ガラス玉栓による密閉である。この画期的な密閉の仕掛けは、イギリスで発明されたものであるが、特許が切れた1888年を境にして、日本でも「ビー玉栓ラムネ瓶」が作られるようになった。

ラムネ瓶 三ツ矢サイダー サイダー
図1. ラムネの瓶 図2. 三ツ矢サイダー サイダー
往時のラムネとサイダー

 strong>図2は、明治42年(1909年)頃の三ツ矢サイダー瓶である。本来のサイダーは、林檎系の香味が付く炭酸飲料で、三ツ矢サイダーがそれである。三ツ矢サイダーは、明治時代に宮内省が兵庫県の、現在は川西市の平野鉱泉を用いて炭酸水の御料工場を作って始まったとされ、大正天皇の皇太子時代に御料品として採用された飲料水である。ラムネとサイダーの違いは、瓶を密封するための蓋が、サイダー瓶はアメリカで発明された王冠であり、ラムネはイギリスで発明されたラムネん 玉栓であった。

おさらいしておくと、ラムネとサイダーの違いは、栓の仕方の違いのほかに、ラムネはレモン水を意味する英語のレモネードが訛ったもので、レモンやライムの香料に砂糖をくわえた清涼飲料水である。サイダーは、リンゴ酒を意味するフランス語のシードルからきたもので、炭酸水の中に、柑橘類に含まれるクエン酸や香料、砂糖を加えた清涼飲料水のことである。
 図3は、現在のペットボトルのサイダーである。

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